私の片想い事情 【完】
カチコチカチコチと時計の針の音が事務所に響く。
ただ今、午後1時を回ったところで、クラスの準備をしたいんだけど、私は水着に着替えることも許されず、お説教モード突入の亜紀さんの前で昨夜のことを報告させられている。
ここ最近、こんなパターンが多いなぁ、と余所事してると、恐ろしいほど低い声が降ってきた。
「ねぇ、堂々巡りって言葉知ってる?」
「―――はい」
「それって誰のことを言うのかしらねぇ?」
キレイな脚を組み、デスクに頬杖をついて私を見下ろすその姿は、それはもう女王様のようで、召使1な私は、すみませんと頭を下げるしかない。
「みなみが、どーしても隼人のことが好きで諦められないのは良く分かったわよ?あなたが、バカで、惨めで、お人よしの都合のいい女ナンバーワンだってことも」
「あの、亜紀さん?私そこまで……」
そこまでひどくない、と反論しようとして、ギロっと睨まれた。
ひっ、メデューサ……
「で、でも、少しは進展したんです。ちゃんと自分の気持ちを伝えれたし、それで、隼人も、私にどこにも行くなって言ってくれて、そして……」
私は、何を一生懸命弁明しているのかもわからず、しどろもどろに女王陛下に申し開きする。