私の片想い事情 【完】
「はい、ラーメン食べて、バス停まで送ってもらって、さよならしました」
「いつもと変わらず?」
「はい、いつもと変わらず。あっ、でも……」
「何?」
間髪入れず聞いてくる亜紀さんが怖い。
「昨日は、隼人すごく優しくて、高橋君のことで悩んでいる私の愚痴も聞いてくれて、いつも以上に親密になれたよーな気がします。ラーメンもおごってくれたし」
嬉々として語る私に、亜紀さんは、ありえないと更にデコピンをしてきた。
「ど、どーしてですかぁ?私は、少しづつでいいんです。少しづつ隼人との距離を近づけることができたら。隼人が私を必要としてくれる、今はこれで十分なんです!」
おでこを両手で隠しながら、私は一生懸命自分が出した結論を亜紀さんに伝えた。
そう、こんな単細胞な私だけど、隼人の言葉の意味を、行動の意味を一晩かけて考えた。
でもね、結局隼人がどう思っていようと、私の気持ちは変わらないし、隼人の傍にいたいの。
他人を求めない隼人が、私を必要としてくれた。
それだけで今の私には十分なの。
だから、隼人が必要としてくれる間は、隼人が私に傍にいて欲しいと言ってくれる間は、いようと思った。
いつかはっきり隼人に振られる日がくるかもしれない。
このままあやふやな関係があと10年と続くかもしれない。
それでも私は、いいと腹をくくったのだ。