私の片想い事情 【完】
絶対に私が着ないようなデザインのそのビキニは、トップスは、フリルがついてボリューム感はあるけれど、ホルタ―ネックと背中の部分は細い紐だけだ。ボトムは、トップス同様フリルがあしらわれているが、三角の部分が明らかに小さい。
同封されていたカードを見れば、『童顔のかわいいみなみちゃんには絶対に似合うと思うから、今年は、色気のない競泳用水着は脱いで、これを是非着てね』と書かれていた。
「絶対に着れません……」
とボソリ呟くと、隼人がビキニを私の手から奪い、箱の中に戻した。
「は、隼人、何するの?」
「何って。返してくる」
「えっ、開けてしまったし、失礼だよ。隼人だって、受け取れって言ったじゃない?」
「それは、俺も中身を知らなかったからだ。何、みなみ、このビキニ着るわけ?」
隼人は、苛立ったように尋ねる。
「着れるわけないじゃない!でも、開けてしまったものを返すのは失礼だし、記念にとっておくわよ」
「何の記念だよ」
「えっと……そうね、何の記念にもならないわね。あっ、いつかコスプレしたりとか?」
「誰とすんだよ?」
隼人の突っ込みがするどい。