私の片想い事情 【完】
「みなみには似合わないし、縁のないものだから、静香さんに返せよ」
「そんな、似合わないとかはっきり言わなくてもいいじゃないっ!」
恥ずかしくて、こんな水着着れないけど、似合わないと面と向かって言われると傷つく。
「みなみには、色気のない競泳用水着で十分だ」
「なっ……わ、私だって、そういうセクシーな恰好するときだってあるわよ」
ムカついて、売り言葉に買い言葉でつい出てしまった見栄っ張り発言。
ビキニどころか、セクシーランジュリーなるもとも無縁な私が、セクシーなんて言葉使っても、冗談にしか聞こえない。
「へ~いつだよ?」
付き合いの長い隼人はそんなことお見通しで、からかうように聞いてくる。
「そ、それは……」
「それは?」
どーせ持ってないだろう、と隼人が意地悪く笑う。
私は悔しくて、何かないか考えるが、タンスの中にあるのは、無地のキャミソールがせいぜい。
視線をうろうろさせていると、タンス横に置かれたピンクの紙袋が目に入った。
はっとして、その袋を手に取る。
中身を出せば、現れたのは、みなみに似合っていたからあげる、と亜紀さんから無理矢理渡されたあのセクシーキュートなナイティ。