私の片想い事情 【完】
しばらく抱きしめられていると、最初こそはドキドキしたけど、余りにも心地良い隼人の体温のせいで、睡魔に襲われそうになる。
瞼がとろみ始めたとき、頭上から、ヤバイな、と声がした。
夢心地に、どうしたの?と尋ねれば、少し身体を離された。
クーラーが効きすぎているせいか、離れた体温が恋しくて、つい隼人にすり寄ってしまう。
「……っ……」
隼人の身体がビクンと揺れるが、私は、夢心地に行かないでとぎゅっと隼人の背中に腕を廻した。
夢なら言えるかも知れない。
飲み込んでしまった言葉を。
聞けなかった単純なことを。
隼人はどうしてこんな風に私を抱きしめるの?
傍にいろってどういう意味?
今夜会いたいと言ったのはなぜ?
次から次へと溢れるその疑問を口に出して言ったのかどうかわからないけど、隼人が何か言っている。