私の片想い事情 【完】
「何でわからないんだ?」
そう聞こえた気がした。
分かるわけないじゃない。
はっきりと何も言われてないもの。
だって、隼人の言葉を、行動を都合良く解釈して浮かれているけど、亜紀さんにあんな風に突かれれば、すぐに揺らいでしまうくらい不安なんだよ?
こうして抱きしめてもらえると、すぐに隼人が大好きって気持ちでいっぱいになるけど、それと同時にもっと欲張りになっていく。
もっとぬくもりが欲しくて、それ以上が欲しくなる。
「ずっとこうしていて欲しい」
私は寝ぼけたふりをして、隼人にぎゅっとしがみついた。
隼人の身体に力が入り、腕を解かれそうになる。
欲が溢れてつい出てしまった私の本心。
それを拒絶するように固くなった隼人の身体。
私はしがみついていた腕の力を緩めた。
意識が段々遠くなっていく中、涙が溢れてくるのがわかった。
「ごめんなさい。何も望まないから傍にいさせて……」
心の中でそう何度も隼人に謝った。
いつの間にか意識が薄れ、私は真っ暗な闇の中へと吸い込まれていった。