私の片想い事情 【完】
目が覚めると、私は自分のベッドの中にいた。
クーラーも電気も消えていて、扇風機の回る音が微かに聞こえてきた。
閉じられたカーテンの隙間から朝日が差し込んできて、ああもう朝なんだと悟った。
ぼんやり周りを見渡しても、人の気配はない。
ゆっくり身体を起こし、期待をこめてソファを見たけど、そこに隼人の姿はなかった。
以前だったら、絶対に泊まっていったのに……
ソファー横のローテーブルを見ると、小さなメモが置いてあった。
そのメモを読んだとき、自然と涙がこみ上げてきた。
意外にも綺麗な字で書かれたそのメモは、『ゴメン、帰る』とだけ書かれたいた。
何を期待したのだろう?
夢心地だったとはいえ、しっかり覚えている。
自分が発した言葉を。
それに対する隼人の答えが「これ」なんだ、と私は悟った。