私の片想い事情 【完】

あーあ。世の中やっぱりうまくいかない。


朝起きたら、たくましい隼人の腕に包まれていた、なーんて展開は、やっぱりロマンス小説の中だけのことで、私は、しっかりタオルケットに包まれ、いつもと変わり映えのない朝を一人で迎えたのだった。


堂々巡り―――


ホントにそうですね、亜紀さん。


笑いと涙が同時にこみ上げてきて、私はこういうことに耐性がつきすぎたのか、意外にも大泣きすることはなかった。


だって、薄々分かっていたことだもの。


ちょっと欲を出したから、こうなったのよ。


分かっていても隼人が好きなんだもの。


そう言い聞かせ、私は頬を伝う涙を誤魔化すように、冷たい水で顔を洗った。





< 314 / 480 >

この作品をシェア

pagetop