私の片想い事情 【完】
あーあ。世の中やっぱりうまくいかない。
朝起きたら、たくましい隼人の腕に包まれていた、なーんて展開は、やっぱりロマンス小説の中だけのことで、私は、しっかりタオルケットに包まれ、いつもと変わり映えのない朝を一人で迎えたのだった。
堂々巡り―――
ホントにそうですね、亜紀さん。
笑いと涙が同時にこみ上げてきて、私はこういうことに耐性がつきすぎたのか、意外にも大泣きすることはなかった。
だって、薄々分かっていたことだもの。
ちょっと欲を出したから、こうなったのよ。
分かっていても隼人が好きなんだもの。
そう言い聞かせ、私は頬を伝う涙を誤魔化すように、冷たい水で顔を洗った。