私の片想い事情 【完】

8月に入れば、月曜日の休みさえ確保するのが難しくなる。


今のうちにしっかり休息をとっておかなければいけないのに、私には眠れない夜が続いた。


それは、隼人のことを考えていて眠れないのではなく、蒸し風呂のような熱帯夜が続き、夜中何度も目を覚ましてしまうからだ。


クーラーをつけっぱなしにして寝て風邪をひいて以来、寝る前には、クーラーを消すようにしている。


この時期に、また風邪をひいて仕事を休むなんてことがあったら、今度こそ鬼マネに殺される。


扇風機に切り替え、足元だけに風をあてているが、生温かい風は何の慰めにもならず、夜中の3時頃に必ず目を覚ましてしまうのだ。


そして、時折見てしまうあの最悪な夢。


昨夜は、隼人の結婚式の花束贈呈で立つ静香さんの姿が、Tシャツ短パンの部屋着を着た私に変わっていて、周囲の失笑を買いながら、隼人から花束を受け取るという内容だった。


花束を投げつけて「こんなものいらない!」と叫んで目を覚ませば、どうやら私は枕を扇風機に思いっきり投げつけたらしく、扇風機がガガガガガと変な音を立てて倒れていた。


最悪だった―――


一台しかない扇風機が壊れた。


買いに行っている暇もないのに……


今夜から、どうやってこの熱帯夜をすごそうか、かなり憂鬱にな気持ちで出勤した。




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