私の片想い事情 【完】
「おはよーございます……」
元気のない私の声に、受付の西本さんと亜紀さんが怪訝そうな顔をする。
「浅井さん、どうしたの?顔色が悪いわよ?」
西本さんの優しい声がじんわりと心に染みる。
そこへ、容赦ない女王様の冷たいお声がかかる。
「何そのひどい顔?不幸体質が移るからやめてくれない?辛気臭い顔しないでよ」
「亜紀様、それは申し訳ございませんでした。熱帯夜が続いて最近眠れなくて……」
「エアコン入れなさいよ。電気代がもったいないとか貧乏くさいこと言わないでよ」
「うちのエアコンは、亜紀さんのところみたいに快適温度になってくれないんです!26、7度に設定すると、寝るには冷えすぎるし、28度にするとつけていないのと変わらない。
扇風機で我慢してましたけど、その扇風機も今日壊れました」
私は、デスクに突っ伏すように座った。
「はぁ?何で扇風機が壊れるのよ?」
「それは……」
明け方に見た夢を思い出す。
くっそー。元はといえば、この人のせいだっ!
隼人の結婚式の夢を見出したのは、亜紀さんが変なことを言うから。
私は、亜紀さんをジロっと睨むが、何よ?と完璧な美貌で睨み返され、何でもございません、と項垂れた。