私の片想い事情 【完】
「ちょっと今日は顔色が悪かったから、亜紀さんに色々されただけ。どーせプールの前にとれるわよ」
「えー似合ってますよ、みなみさん」
ころころ笑う瀧川君に、隼人は言葉を被せるように、似合ってないとバッサリ切る。
あーそうですかー。
どーせ、らしくないことしましたよーだ!
「隼人に関係ないじゃない。手離してよっ!」
機嫌を取ろうとした自分が馬鹿みたいだ。
これだから、亜紀さんに成長がないって怒られるのよね。
隼人の腕から逃れよとするけれど、隼人はぎゅっと握って離さない。
「隼人、離してよ。クラスの準備があるの」
小さくなる声で懇願すると、ぐっと腕を引かれた。
「カズ、みなみにかまうな」
私の小さな懇願なんて無視して、隼人は瀧川君をジロっと睨む。
「無理です。俺、前にも言いましたけど、みなみさんが好きですから」
瀧川君は、隼人を真っ直ぐに見据えて言い切る。