私の片想い事情 【完】
「今日のみなみは、何か印象が違ってかわいいな」
どうした?と頬を両手で挟まれて、身動きがとれない状態に。
ひー勘弁してください。
今、あなたの相手をしている余裕はないんです、と言いたいのに言えない小心者の私。
うー、あー、ともがいていると、後ろから腕を強引に引かれ、私はマネージャーから解放された。
「ったく、瀧川といい、マネージャーといい。セクハラですよ?」
隼人の怒気を孕んだ声が背中に低く響く。
「セクハラって何だ!俺とみなみのスキンシップだ!」
なぁ、みなみ、とマネージャーにすごまれ、私はつい、ハイと頷いてしまう。
背後に立つ隼人の空気がピリっと変わったのを肌で感じ、慌てて、首を横に振る。
「みなみ―――」
ほえ、と振り返れば、隼人に顎を掴まれ、その指でぐいっとグロスを拭きとられた。
「こんな似合わないもん、つけるな。お前らしくなくて気持ち悪い」
「……っ……」