私の片想い事情 【完】

「おい、隼人~。そんな言い方ないだろう?みなみ、十分可愛いぞー」


マネージャーは、慰めようとしてくれているのか、必死に褒めてくれるけど、私は虚しくなって、何も言い返せなかった。


ついさっき、女を放棄し続けていたことに気付き、ちょっと努力してみようと思った。


それも全て、隼人に女として見てもらう為。


でも隼人は、らしくないって、気持ち悪いって……


そんなこと言われたら、私はどうしたらいいの?


結局私は、隼人に女として見てもらえなくて、都合のいい友達で、母親で、結婚式の友人スピーチ代表なんだ。


再度そのことに気付かされ、泣きたくなかったのに、視界が潤んでくる。


「みなみ?」


私を見つめる隼人の瞳が不安そうに揺れている。


頬を伝う水の感触に、涙が零れているのだと理解した。


悔しいから泣きたくなかったのに……


「うるさい、バカ隼人!似合ってなくても、かわいいくらい言え、この鈍感男!」


私は、隼人の腕を思いっきりふりほどき、涙を散らしながら事務所から出ていった。




< 336 / 480 >

この作品をシェア

pagetop