私の片想い事情 【完】
「おい、隼人~。そんな言い方ないだろう?みなみ、十分可愛いぞー」
マネージャーは、慰めようとしてくれているのか、必死に褒めてくれるけど、私は虚しくなって、何も言い返せなかった。
ついさっき、女を放棄し続けていたことに気付き、ちょっと努力してみようと思った。
それも全て、隼人に女として見てもらう為。
でも隼人は、らしくないって、気持ち悪いって……
そんなこと言われたら、私はどうしたらいいの?
結局私は、隼人に女として見てもらえなくて、都合のいい友達で、母親で、結婚式の友人スピーチ代表なんだ。
再度そのことに気付かされ、泣きたくなかったのに、視界が潤んでくる。
「みなみ?」
私を見つめる隼人の瞳が不安そうに揺れている。
頬を伝う水の感触に、涙が零れているのだと理解した。
悔しいから泣きたくなかったのに……
「うるさい、バカ隼人!似合ってなくても、かわいいくらい言え、この鈍感男!」
私は、隼人の腕を思いっきりふりほどき、涙を散らしながら事務所から出ていった。