私の片想い事情 【完】
「すみません、実は亜紀さんに聞いたんです。西崎さんとのこと。最近のみなみさんの様子がおかしかったから心配で」
「亜紀さんに?」
どこまで聞いたのだろうか、と不安になっていると、瀧川君が優しく微笑んだ。
「詳細は聞いてませんよ。ただ、みなみさんがすごく傷ついても西崎さんのことが好きという想いは伝わってきました」
「バカでしょう?亜紀さんにも大バカだって何度も突っ込まれたわ」
「そんなことないですよ。それなら俺も大バカだ。そんなみなみさんが好きなんだから」
瀧川君がそっと私の頬に触れる。
ほら、笑って?と瀧川君は私の頬を引っ張る。
そんな風に愛おしそうに微笑まれたら、笑えないよ。
泣きたくなっちゃうじゃない。
私は、また潤んでくる瞳を堪え、必死で笑顔を作った。
私は、何度彼に救われてきただろう。
今も、惨めでくじけそうだった。一方通行の隼人への想いが辛くて。
瀧川君は、そんな私の背中をいつも押してくれる。
絶賛セール中の彼を、買います!と買えたらどんなに楽か。
ホント、恋ってうまくいかないなぁ、としみじみ思った。