私の片想い事情 【完】

瀧川君は、私の頬から手を離し、背中をトンと押した。


「ほら、あと10分しかないから、亜紀さんからもらったお弁当少しでも食べてきなよ。保護者の対応俺がしているから」


食欲はなかったけど、私は、はいと素直に従った。


事務所で隼人と顔を合わせたけど、思いっきり無視してやった。


隼人への想いとこれは別である。


謝るまで誰が口を聞いてやるもんか!と私は顔を背けて大人げない態度を取る。


そんな私の態度に隼人もカチンときたようで、


「化粧だけでなく、弁当まで人にしてもらってんの?」


と悪態をついてきた。


私は、むっかーときて、そのままお弁当を食べずに、事務所を出ていってしまった。


ああ、亜紀さん、竜也さん、ごめんなさい。


冷蔵庫に入れておくから、夜食べます、と心の中で謝り、私は何一つ口にすることができず、プールへと向かった。




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