私の片想い事情 【完】
幼児クラス、低学年クラスを終え、私はかなり疲れていた。
お昼を抜いたせいもあったけど、ここ数日の睡眠不足がかなりきているようだった。
あと、高学年のクラスが一つ、と自分に喝を入れていたとき、プールサイドが急にざわつきはじめた。
大きな怒鳴り声が聞こえる。
人が集まるその中心に行ってみると、マネージャーが必死で、唾を飛ばして怒っている男の人を宥めていた。
あれは―――
「高橋君のお父さん……」
私の声に、高橋君のお父さんは、視線をこちらに向ける。
「浅井先生、あなたの仕業ですか?」
いきなり怒りの矛先を向けられ、私は何がなんだかわからない。
お父さんの隣で、涙目の高橋君が必死で、やめてと訴えている。
「あの、お父さん落ち着いてください。何のことですか?」
「とぼけないでください。どうして陽介が高学年の選手コースに入れないんですか?4年生からも何人か入っているそうじゃないですか?」
「そ、それは……」
私は、言葉に詰まり、マネージャーに救いを求めた。