私の片想い事情 【完】
高橋君の腕を掴み、引き寄せようとしたまではいいけど、その時いきなりクラっと立ちくらみがして、私までもが高橋君と一緒に転びそうになる。
プールに落ちる、と思った瞬間、私は高橋君を庇うように抱きかかえることで精いっぱいだった。
「きゃあ」と小さな悲鳴が飛び交う。
目を見開いて慌てて手を伸ばそうとするお父さん。
同じく手を差し伸べようとして、空をかくマネージャーのたくましい腕。
全てがスローモーションのように見え、ああ、落ちてもプールだから大丈夫と思っていると、ゴンっと頭に激痛が走り、私の視界はそこで真っ暗になった。
みなみっ!と酷く焦ったような隼人の叫び声が聞こえるけど、頭がクラクラして、酷い息苦しさと胸の辛さに、私は、完全に意識を手放した。