私の片想い事情 【完】
頭も身体もダルくて、起きるのは諦めた。
寝返りを打とうして、点滴されている腕をかばうように横に身体を向けようとすると、足が全く動かない。
―――え?
もしかして、下半身麻痺?
気を失い溺れ、それで心臓が止まって、脳が一時停止。そして蘇生されたはいいけど、下半身不随に!?
テレビドラマのような展開をものの3秒で頭の中で妄想し、パニック状態に陥っていると、動かない足元から、間抜けな寝息が聞こえてきた。
「…………」
結構重みのある布団がかかった私の足の上には、上半身を思いっきり預け、突っ伏すように寝ている隼人の姿があった。
あーこいつか、私の下半身麻痺の正体は。
足は、動かないのではなく、動けないでいたのだ。
「はーやーとー」
どーしてこんなところで寝ているのだろう?
頭が痛くて、上半身を起こすのは辛いので、私は、ただ隼人の名前を呼ぶ。
ここは個室みたいだけど、消灯されているということは、少なくとも夜の9時過ぎに違いないから、私はあまり大きな声を出さないようにした。