私の片想い事情 【完】
布団の中から、全力で足に力を入れて隼人の頭をどかそうとするけど、その足は痺れ、少しでも動かすと、逆に自分が辛い。
「隼人、隼人、起きて」
私は、声をひそめて何度か隼人に声をかける。
「……ん……」
しびれる足にめいいっぱい力を入れて、膝蹴りするように隼人の頭を蹴ると、やっと隼人の瞼が上がる。
「隼人、ねぇ、隼人ってば」
「……み、なみ?」
寝ぼけた様子の隼人が視界に私を捉えると、酷く驚いた様子で固まった。
「ねぇ、私どーしたの?何で病院にいるの?」
「みなみっ!」
急に隼人が起き上がり、私に覆いかぶさるように抱き着いてくる。
「ひゃあ、は、隼人?」
隼人は、私を布団ごとぎゅうっと抱きしめながら、何度も私の名前を呼ぶ。
「隼人、声抑えて!ここ病院でしょ?ねぇ、私どーなったの?」
隼人は何も答えず、私に抱きついたままだ。
ううん、抱きつくというより、子供がしがみつくと言った方が正しいかも。