私の片想い事情 【完】
「気が付いたようだね」
眼鏡をかけたやけにキレイな顔の男の人が、私の顔をのぞきこんでくる。
白衣を着ているから多分先生なんだろう。
「吐き気とか頭痛はない?」
「はい、吐き気はないんですが、頭が痛いです」
「だろうね。頭を打ったから、しばらくは痛みは残ります」
「頭、打ったんですか?」
どこに?と聞こうとして、言葉を呑み込む。
なんせ、この先生、デキる医者オーラと、余計なことは聞くなオーラをバンバン出していて怖い。
横に立つ看護婦さんがいい人そうなので、後で彼女に聞こうと思った―――矢先、私は、それを断念することにした。
だって、その看護婦さんの視線の先は、寝起きで色気をぷんぷん放った状態の隼人がいたから。
全く、年齢、職種問わず色気を振りまくこの男には困ったものだ。
まぁ、本人の意思じゃないけど。