私の片想い事情 【完】
「あ、あの隼人?」
「何?」
目線だけこちらに流す仕草は、それはもう、流し目ランキングがあったら、ダントツ一位を取れるほどで、私は瞬間悶絶死(そんな死因あるのか?)しそうになった。
言葉に詰まる私を隼人がまた心配そうに覗きこむ。
あの、その手、どーにかなりませんか?
どこかしこ触りまくる、その手!
と言いたいのを抑え、思ったまんま聞いてみる。
「隼人、どーしたの?変だよ。隼人頭でも打った?」
私がどうして戸惑っているのか分からない様子の隼人は、怪訝そうな顔で、頭を打ったのは、お前だろ?と呟いた。
「いや、そのね……」
「何だよ?」
「お、落ち着かないから、手、離してくれない?」
そう、こんな風に優しくされても、慣れていない私は、どーしても落ち着かない。
心臓にも悪いし、頭打った夏バテ気味の病人が、こんなに心臓をバックンバックンさせていては、血圧上昇で脳の血管がプッツリいってしまうよ。
すると隼人は、私の言っている意味を理解したのか、それは、それは、魅惑的に微笑んだ。
「……っ……」