私の片想い事情 【完】
涼しげな口元をくっと上げ、綻ぶように切れ長の目を細めるその微笑は、どこかのアイドル雑誌から飛び出てきたようで、私は、中年のおじさんのように咳払いをした。
もーダメ!
神様、私キュン死にできます!
「イヤ。手は離さないし、俺のしたいようにする」
そう言って隼人の手は、頬から首筋を往復し、私の顔の真横に頭を乗せてくる。
身体中の血液が顔に集中しているに違いないくらい、顔が熱を持つ。
あ、甘い!甘すぎるっ!
あの隼人が、私に対してこんな風に甘々になるなんて、あり得ない!
数センチほどの距離で、隼人がじっと私の目を見つめる。
髪を弄りながら何かを確かめるように。
私は、恐らく真っ赤に発熱した顔で、目線を逸らすこともできず固まっていた。