私の片想い事情 【完】
「事務所を出て廊下の突き当たりがプールへの入口です。ここは従業員専用で、生徒は更衣室の入口を使用します。屋外プールへの入口は……」
「ねぇ、ねぇ、浅井さん?」
施設内を案内していると、美少年のうちの一人が私の名前を呼んできた。
『ねぇ、ねぇ』が気になるっ!!
この子はどっちだ?名前は瀧川君と菅波君だっけ?と二人を交互に見ていると、そのうちの一人がにっこり笑った。
不覚にもその笑顔にドキンと鳴った。
「あ~さ~い~さん?」
「おい、カズ……」
「何ですか?」
甘い笑顔に、甘い声、本当に美少年は毒でしかない。私は、平静を装ってにっこり笑った。
「お父さん、タ○チファン?」
「…………。」
作った笑顔が引きつった。
「いいえ、偶然です!」
隼人限定のときめき指数を返せ!とさっきちょっとトキめいてしまった自分を心の中で罵った。