私の片想い事情 【完】
「いってぇ!」
「は、隼人!」
ぐいっとマネージャーの顔を押しやり、瀧川君同様、冷めた声で、暑苦しくて病室の温度二度上がった、と零す。
「隼人、最近、俺の扱いが雑だぞ?」
カバンから取り出したタオルで汗を拭きながら、マネージャーは瀧川君のそばにドカっと座った。
「あのさ、カズもマネージャーもみなみに気安く触んないでくれる?」
いきなり何を言い出すんだ、と隼人に視線を向ければ、えらい真面目な顔をしている。
「何の権限があって、お前がそんなこと言うんだ?」
「そーですよ、西崎さん。どうしたんですか、いきなり?」
それは、私も聞きたい。
三人で隼人に視線を向ければ、隼人は至極当然といった面持で、とんでもないことを言い出した。
「権限?だって、みなみは俺の所有物だから」
「しょ、所有物?」
言われた意味が分からず、口がぽかんとあく。
「あのな、みなみは、お前の彼女でも何でないだろう?」
「何言っているんですか?俺の女ですよ、みなみは」
なぁ、みなみと、にっこり笑われ、私は一気に絶賛パニック状態に突入した。
爆弾発言を放った隼人は、ベッドサイドに腰かけると、私の肩に手を回し抱きすくめる。
そして、髪に、首筋に、肩に、ちゅっと音をたてて、キスを繰り返す。
それは、それは、愛おしそうに。
私は、口を開けたまま、ぽかーんとされるがままになっていたのだった。