私の片想い事情 【完】

「そうなのか?」


何がそうなのかすらも分からない。


隼人の言っていることも、私が知らないことを瀧川君が知っていることも、隼人のその反応も。


「単純な男と鈍感な女って、手が付けられない。おやすみなさい」


そう言い残して、瀧川君は帰っていった。


私と同じく現状を理解していないマネージャーは、ゆっくり休めよ、と声をかけてくれ、さっさと歩いて行ってしまった瀧川君を慌てて追った。


嵐が去った後のように、静かになる病室。


残された私と隼人。


相変わらず、隼人は私にひっついたままだ。


「あ、あの隼人?」


私は隼人の腕の中で顔だけ上げる。


「何?」

「ひとつ聞いていい?」

「何でも聞いていいよ」


腰をすべるように撫でる隼人の手が非常に気になったが、それ以上に気になることを思い切って聞いてみた。


心臓が段々早くなる。




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