私の片想い事情 【完】
「ごめん、みなみ。俺が悪かった。言葉が足りなかったよな、ごめん。だから泣きやめよ」
隼人は私の涙を掬いながらオロオロしている。
「知らない!だって、勝手に出てくるんだもん」
「頼むよ。俺、お前に泣かれるとどうしていいかわからなくなる」
隼人は、そっと私の背中に手を置き、子どもをあやすようにトントンとさする。
もう一つの手は、空中をふらふらしている。
うーとうねりながら、その手持ちぶたさにしている手をベッドサイドにつく。
何だか、その不恰好さにおかしくなって、今度は笑いがこみ上げてきた。
「おい、泣くか笑うかどっちかにしろよ」
「だって、隼人がトントンって……」
私は、隼人の腕の中で大笑いした。
「みーなーみー」
苛立った声音で名前を呼ばれ、ビクンと顔を上げれば、いきなり隼人の怒った顔が真ん前に。
その怒ったような焦れたような表情に、泣いていた心がトクンと小さく鳴る。
あっ、キスをされる、と思った瞬間、唇は塞がれていて、私は、どうしてなのか分からないけど、驚くことなくそれを受け入れた。