私の片想い事情 【完】
検査結果も問題なく、点滴を二本ぶち込まれた私は、今朝無事に退院することができた。
あの迫力満点の綺麗な顔の先生に、食事と睡眠はしっかり取るようにと念を押され、私は、はい、はい、と言われるままに頷いていた。
そして、今、私は何故か西崎家のリビングのソファーで、静香さんが淹れてくれたハーブティーを飲みながら、まったりとしている。
目の前には、これでもかと言わんばかりのスタミナ料理が並んでいる。
何故、自分のアパートに戻り、ゆっくり休んでいないかというと―――
私が入院したと聞いた静香さんが、今日は仕事で来れない隼人の代わりに病室に乗り込んできて、退院手続きを済ませたかと思うと、私をBMWに乗せ、西崎家へと連れてきたのだ。
そして、睡眠不足で夏バテ気味だと聞くや否や、夏の間はアパートには返さないと言い出して、今、私は西崎家に監禁状態。
静香さんにアパートのカギを没収され、代わりに、いつもの客間に私専用のお布団が敷かれた。
さぁ、食べて、さぁ、飲んで、さぁ、寝て。
ともう静香さんの献身的な?介護に、私は圧倒され、アパートに帰ってもいいですか、なんて聞こうものなら、ロープで縛りつけられそうな勢いだ。
「みなみちゃんに何かあったら、うちの家族全員が悲しむんだから!」
目をウルウルさせてそう縋る静香さんに根負けした私は、とりあえず、一週間後の検査までお世話になることにした。