私の片想い事情 【完】
「間延びした返事とその喋り方やめてね」
私は、とりあえず、『みなみちゃん』の名前由来の話に触れさせないよう、極力感情を抑え、態度を注意した。
でもこいつは堪えた様子もなくニコニコと笑っている。
「下の名前で呼んでいいですか?」
「絶対にイヤです!」
「す、すみません。こいつ……」
菅波君?多分菅波君、彼の方が生意気な美少年の口を押えて慌てて謝ってきた。
この子はとてもいい子そうだ。
「そんなに怒らなくてもいいじゃないですか。そんなにイヤですか、俺たちの指導?」
すごくイヤです!とつい口からポロっと出そうになり、私は慌ててその言葉を呑み込む。
「図星?」
「……」
ちなみに今君と口を聞いてもっとイヤになりました!
心でそんな風に返しながら、私はにっこりと笑ってみせた。