私の片想い事情 【完】
「兄貴はずるいなー。好き勝手して、結局みなみちゃんをさらっていくんだもん」
「どうしたの、彰人君?」
何だかやけに甘えたな彰人君に、ちょっと焦ってきた私は、肩をずらして彼の顔を覗きこむ。
あれ?顔が赤い?
もしかして照れてる?
「見ないでよ。俺、本気でみなみちゃんのこと心配してたんだから!それなのに、昨日の夜兄貴はスッキリした顔で家に帰ってくるし、今朝お見舞いに行こうとしたら、どーせみなみは今日から家に来るから行くなってすごまれるし」
「え?隼人がそんなこと言ったの?静香さんじゃなくて?」
「こんなこと言い出すの、兄貴に決まっているでしょ?みなみちゃんが、夏バテ気味だからって、母さんに言えば、母さんが強硬手段取るのも分かっているし」
「そうだったの……ごめんね、本当に心配かけちゃったみたいだね」
「本当にそうだよっ!」
そう言って、ごろんと畳の上に転がる彰人君。大きな身体を伸ばして、うーんと言いながら背伸びをする。
ああ、もうホント可愛いなぁ。
こういうところが次男坊なんだろうな。
私は、ありがとう、と笑い、彰人君の髪を撫でた。