私の片想い事情 【完】
「もう、みなみさん、泣かないでよ」
「だって、瀧川君が優しすぎるから……」
グス、グスと啜り泣く私に、瀧川君は、ぽんぽんと背中をさすってくれる。
「私、本当に瀧川君の気持ちは嬉しかったの。あんな風に好きだって言われたのは初めてだったし、辛い時一緒にいてくれたし……高橋君のことだって感謝している……でも……」
「いいから、それ以上言わないで」
ふわっと瀧川君のさらさらの髪が首筋にかかったかと思うと、彼は肩にコツンと頭を乗せてきた。
「瀧川君……?」
「お願い。ちょっとだけ、ちょっとだけこのままでいさせて?」
肩から伝わる熱に、瀧川君の気持ちが、優しさが痛いほど伝わり、私は何も言えず、そのままでいることしかできなかった。
暫くすると、瀧川君は、充電完了!と言って私から離れた。
その表情は、いつもの瀧川君に戻っていて、王子様スマイルを浮かべていた。
「俺、よかったよ、みなみさん好きになれて。今はちょっと辛いけど、後悔はしていない。でも、覚えておいて。辛くなったらいつでも待っているから。みなみさんが逃げ出したくなった時は俺がいるから」
「瀧川君……」
彼の優しさにまた涙腺が緩みそうになったとき、両手で頬を挟まれ、笑ってよ、と綺麗な顔で微笑まれた。
そして、これからも可愛い後輩としてよろしくね?と、アイドル顔負けのウィンクをされ、私は不覚にもときめいてしまった。