私の片想い事情 【完】
「で、特別教室の初日はどうだったの?」
美形の眩さに目を細め、私はビート板を片付ける振りをして、どうでもいい話をふってみた。そしたら、案の定どうでもいい答えが返ってきた。
「お色気ママさん達に疲れた。今のママさんたちって若いし、キレイだよなぁ♪」
「子供に教えてんの?それとも親?バッカみたい!」
「みなみには無縁の世界かもしれないけど、モテるって大変なんだぞ?」
「無縁で悪かったわねっ!」
私はプイっと顔を背け、ビート板を隼人に思いっきり押し付けた。別に今更そんなことを言われて怒らないけど(事実だし)、ただ若いママさんたちとのお色気話なんて聞きたくはなかったから。
だから私は怒った振りをしてその場から去ろうとした。
「あっ、みなみゴーグルは?」
私のそんな素振りも分かっているのか、隼人はクスクス笑いながら私を呼び止める。
絶対に私の反応を見て楽しんでる。分かっているのに、無視できない私はバカだ。
「買ってきたわよ。事務所においてあるから」
「さっすが、みなみ!サンキュ♪」
にっこり笑う隼人のスマイルは、ナマイキ美少年のキラースマイルの何十倍も殺傷力で私を骨抜きにする。
やっぱり大好き!と胸キュンする私は、本当に単純明快な女だ。