私の片想い事情 【完】
どーしてこうなっているかというと―――
事の発端は、何気なく夕食の準備をしていたとき。
9時に帰宅した隼人は、ちょっと不機嫌だった。
どーしたの?と聞くと、スイミングに顔を出した私が、隼人に声をかけなかったことが気に入らなかったらしい。
「隼人はクラスの最中だったし、皆の前で顔を合わせるのが恥ずかしかったの」
そう正直に言うと、隼人の頬の筋肉は少し緩み、冷しゃぶ用のタレを作っていた私を背後から抱きしめた。
「もう夕食の準備しているのに。タレの味見する?」
なーんて、新婚さん気分でいたら、急に隼人が私をバスルームへとずるずる引きずっていった。
何がどーなってこんな展開に?と取り敢えず指につけたタレを舐めていると、風呂に入るぞ、と隼人はTシャツを脱ぎだして。
そして、私も一気にTシャツとショートパンツを脱がされ、隼人の手は下着にまで伸びてくる。
隼人と一緒にお風呂なんて入ったことないし、勿論私は思いっきり抵抗した。
パンツを一生懸命引き揚げ、ヤダヤダと壁に張り付く。
何を急にさかっているんだ?と睨めば、ジロっと見下ろされ、思いっきり舌打ちされた。
隼人の舌打ちは、ひじょーによろしくない状況の前触れである。
あの、その、私何かした?とあたふたしていると、今度は思いっきりすごまれた。