私の片想い事情 【完】

「カズの匂いがする。めちゃくそ気分が悪い。俺には顔見せなくても、カズとは会ってたんだ?」


一瞬それが何?と言いそうになったけど、隼人の不機嫌オーラに、ごめんなさい、と項垂れるしかない私。


でも、それがお風呂に一緒に入るのとは、別問題だ!


明るいところでマジマジと裸を見られるなんて絶対に嫌だったし、ましてや、西崎家の皆さんがいるにもかかわらず、そんなことできるわけがない!


そう涙目になって力説しても、あっさり下着も剥ぎ取られ、羽交い絞めにされながらバスタブへと放り込まれた。


そして、更に私を追い詰めるようなことを言う。


「みなみの身体なんてここ一週間で知り尽くしたし、俺らが毎晩ヤッてることも家族中が知っている。風呂に一緒に入ったからって今更驚かねぇよ」

「そ、そんなこと言わないでっ!」


真っ赤になってぶくぶく湯船に沈む私を、一度バスタブから引き揚げた隼人は、いきなりシャワーを頭からかぶせてきた。


「さっさとカズの匂いを取れ」


そう言って、シャンプーを思いっきりつけられ、髪を洗われた。


膝の上に乗せられ、背後から抱きしめられるように腕を回されると、一気に妙な気分になる。


鏡に映る自分を直視できなくて、お風呂に入って3分で逆上せそうになってしまった。


髪を洗い終わると、隼人がぎゅっと背後から私を抱き締めてくる。


直接触れる肌と肌。


首筋にかかる熱い吐息。


もう何度も裸で抱きしめられたけど、場所とシチュエーションが違うだけで、非常に困惑する私の脳内。




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