私の片想い事情 【完】
「みなみ、頼むからかんべんしてよ」
ポツリ呟く隼人に、それは私の台詞なんですけど、と言いたいのをこらえ、回された隼人の腕にそっと自分の手を添え、広い胸に頭を預けた。
それがいけなかったのかもしれない。
「みなみ、安心しきっているけど、俺が何で怒っているか分かっている?」
「えっと……その、瀧川君の匂いがついていた、から?」
「よく分かってんじゃん」
「どーして瀧川といたの?」
「えっと、スイミングの帰り偶然バス停で会って……」
「瀧川の匂いがつくようなことしたの?」
「―――え?」
鏡越しにじっと見つめられ、尋問される私。
「な、何も!ただ話してただけで……」
「ただ話してただけで何でカズの匂いがつくの?」
えっと~
あれは言ってもいいのかなー?
だって、肩貸しただけだし、別に何かされたわけでもないし……
「あの……」
言葉に詰まっていると、くるっと身体を反転させられ、隼人と向かい合わせにさせられた。
それは、脚は隼人をまたぐように大きく開かされ、非常に恥ずかしい恰好。