私の片想い事情 【完】
「や、隼人……」
「いいから、言え!」
じっと睨まれ、おずおずと口を開く私。
「か、肩貸して、って言われてちょっと、貸したの……」
上目づかいにチロっと隼人を見れば、切れ長の色っぽい目を細め、その横のこめかみには漫画で言う怒りマークが見えるようで。
「おーまーえーは!」
ぐりぐりと頭を両手のげんこつで挟まれ、私は色気のない声を出す。
「うげっ!いだいっ!隼人、痛いよっ!だって……」
「だってもくそもないっ!お前は、自分のことを好きだと言っている男に簡単に気を許しすぎなんだよっ」
そ、それは、そうだけど……
仕方ないじゃない。
あんな風に言われたら。
瀧川君の気持ちが痛いほど伝わってきて、拒めなかった。
だって、報われない恋の辛さは私が一番知っているから。
言葉に詰まって黙り込んでいると、隼人が額をコツンと合わせてきた。