私の片想い事情 【完】

「みなみ、あのさ、俺結構面倒くさいよ?」

「―――え?」

「自分でも驚いているけど、みなみが他の男に少しでも触れられると気が狂いそうになる」


こんなこと隼人から言われると思ってもみなかった私は、驚きで言葉に詰る。


「カズだけじゃない。マネージャーだって、彰人にすら殺意を覚える」

「隼人?」

「勝手なのはわかっている。でも、どーしよーもないんだ」


縋るように見つめられ、その視線を外せない。


隼人の瞳は不安に揺れ、まるで傷ついた子供のようで。


「私が隼人が大好きなのは、隼人が一番分かっているでしょ?」


私は、隼人の頭をそっと抱きしめた。


「何年片想いしてきたと思ってんの?それこそ何度振られても諦められなかったんだから」

「分かっているけど、ダメなんだ……」


いつも俺様で傍若無人な隼人がこんな風に不安定になると、どうしていいかわからなくなる。


「こっちは振られる度に、隼人には女として見てもらえないって思っていたから、急に、こんな風にされたら、戸惑っちゃうよ……」

「急じゃない」


腕の中でぼそっと隼人が呟く。


「ずっとみなみが好きだった」

「―――え?」

「俺には、ずっとみなみしかいなかった」


ぎゅっとしがみつかれ、初めて聞かされる隼人からの告白に、胸がトクンと早鐘を打った。




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