私の片想い事情 【完】

でも―――


でも、それだけ隼人の傷は深かったんだ。


一度お母さんに捨てられ、傷ついた小さな隼人。


それは、女性不信という形で隼人を縛り続けた。


そして、その傷が癒えることなく、3年前にまた同じように傷つけられた。


求めることをしない隼人。


それは、求め方を知らないんじゃなくて、諦める方を最初に知ったから。


「みなみの言った通りだ。俺は臆病者の最低男だよ。あの女の血が流れていると思うだけで、自分が嫌でたまらなくなる。愛することも愛されることも、何もかもが恐いんだ」


私の腕の中で、隼人が苦しそうに顔を歪めているのがわかる。


隼人の大きな肩が震える。そして、私に触れる手から力が抜け、私は胸が締め付けられたように苦しくなる。


ああ、隼人は全然大丈夫じゃない。未だに傷つけられた傷は血を流し続けている。


「今もみなみがいなくなるかと思うと気がきじゃない。それならいっそのこと手放した方が楽になるんじゃないかって思うこともある」


隼人の身体がふっと私から離れる。


躊躇うように添えられただけの手に、いいようのない不安が募り、私は、隼人の頬を両手でがしっと掴んだ。




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