私の片想い事情 【完】
「まぁ、友だち?姉貴?世話係に家政婦?そんなもんだ」
こいつ、ヤッテモイイデスカ?
姉貴までは許そう、世話係に家政婦って……
私はついさっきまで、胸キュンしていたことも忘れ、思いっきり隼人の頭を怒ついた。
「ってぇなぁ!!」
「うるさい!黙れ!」
「あははは。確かに隼人先輩のタイプと全然違いますもんね?」
「だろ?」
今コイツ、わざと『全然』っていうところ強調した?
「もう、くだらないこと言ってないでさっさとシャワー浴びてきなさいっ!」
これ以上笑いのネタにされるのはイヤなので、私は隼人の背中を押して、無理矢理出口の方へ向かせた。
もう、こんな風にからかわれるのは慣れっ子になってしまった。
「ハイハ~イ。じゃぁねん♪」
ビート板を脇に抱え、隼人の軽くてチャライ返事が返ってくる。
「おっ疲れ様で~す」
そして答える瀧川君の返事も軽い。
菅波君は挨拶だけして頭を下げた。
本当にこの子はよくできる子だ。性格に難アリの美形の中で唯一の救いかもしれない、と私はすがるように彼を仰ぎ見た。