私の片想い事情 【完】
水を飲ませたいのか、キスをしたのか、絡められる舌に、何が何だかわからなくなる。
「は、んん、やと……」
「何?」
「も、いい……んん」
「水が?それともキスが?」
強引にキスをしてきたかと思えば、甘い声で誘うように聞いてくる。
本当にずるい男だ。
こんなキスをされて、抵抗できるわけないのに。
「バカ隼人……」
涙目になって睨む私を、隼人はクスクス笑いながら、抱きしめてくれる。
傍から見たら、本当にどうしようもないバカップルぶり。
でも、ずっとこんな日を夢見ていた。
隼人の腕に抱かれながら、優しく名前を呼ばれる。
もう、やめてと言いたくなるほどのキスを降らされ、隼人の胸に顔を隠すの。
絶対に叶うことことのない夢だと思っていた。
触れることもできず、ただ傍にいるだけでいいと思っていたのに。
でも、手を伸ばせば届く距離に彼はいる。
求めれば応えてくれる。
その瞳は時々不安に揺れることがあるけれど、
多分、もう大丈夫。
私の気持ちが揺るがない限り、あなたはちゃんと応えてくれる。
ねぇ、隼人が思っている以上に私はあなたに夢中なんだよ?