私の片想い事情 【完】
みなみは、いい意味でも、悪い意味でも、俺の期待を裏切った。
バレンタインの後、みなみは何度も俺に告白をしてきた。
それは、もうイベント毎に。
俺に彼女やセックスフレンドがいてもおかまいなしに、真っ直ぐに想いをぶつけてくる。
俺は、告白されるたびに冗談でかわし、時には期待を持たせるようなこともした。
恋愛経験の乏しいみなみは、俺が繰り返す嘘を言葉通りに信じる。
「今は彼女と別れたばかりだから、すぐに他の女のことは考えられない」
そう言えば、「わかった、待っている」と笑う。
「みなみは、最高の友達だな」と牽制すれば、最高の友達を演じてくる。
さっさと諦めるかと思ったけれど、みなみはしぶとかった。
俺のどこがいいのか、さっぱりだった。
もう化けの皮は剥がれている。
俺が、女にだらしないところも、自分勝手でいい加減なところも、みなみは全て知っている。
そして、俺の素性も。
そう、どうして俺が女に本気になれないのかも―――