私の片想い事情 【完】
私がつい癖でじっと隼人の背中を見送っていると、クスリと意味深な笑いが聞えてきた。
「ふーん……」
「何?」
「いいえ、別に。面白くなりそうだなぁって♪」
何だか良い気分も予感もしない。
むずむずするような不快感を胸に、コイツは苦手な上に要注意人物だ、と私は心の中の危険物リストに書き止めた。
「取り合えず、明日からそこの隼人が入っていったロッカールームで着替えてから事務所に来て。時間厳守です」
「はい」 「は~い」
約一名変わらず間延びのした返事を返してくる。
「間延びした返事はやめなさいって言ったでしょう!」
「はい、浅井さん♪」
反省の色がない瀧川君の笑顔に私はまた脱力した。
「じゃあ、私はこれから小学生の教室の準備があるから」
「は~い♪」
「…………。」
私はこの間延びした返事を聞き、明日からのことを思うとゾッとするくらい気が遠くなりそうだった。