私の片想い事情 【完】
ハッと目が覚めたとき、ひどい頭痛と息苦しさに、呼吸すらもままならなかった。
酸素を求めて、大きく深呼吸をすると、懐かしい匂いがした。
柔らかい綿素材の感触とシャボン玉の香りに、気分が少し楽になる。
ああ、やっと見つけた。
俺が欲しかったもの。
手を伸ばさなくても、ここにすっぽりと入ってきてくれた。
俺にしがみつくように抱きくみなみの頬にそっと触れる。
泣き続けたせいか、涙で髪が張り付いていた。
くすぐったそうに顔を背けると、また眦から涙が零れた。
その雫に唇を這わせる。
ああ、これが愛しいという感情なんだ。
「みなみ―――」
耳元で名前を呼ぶと、身を捩りながらも、口元を緩めて微笑む。
「好きだよ」
まだ、彼女には言えない、本当の気持ち。
俺は、彼女のあどけない寝顔に何度もキスを落とし、その言葉を口にした。