私の片想い事情 【完】
今でも思う。
あの時、ちゃんとみなみに自分の気持ちを伝えていたら、俺はあんな風にみなみを傷つけることはなかったのだろうか?
今までさんざん泣かせてきて、そんなこと言うのもおかしいけれど。
もう少しだけ時間が欲しかった。
みなみの想いを、あの真っ直ぐな瞳を独占する時間が―――
俺だけに向けられる一途な想い。
あの向日葵のように心を温かくさせる笑顔がまぶしくて、そして、ずっとその笑顔を傍で独占していたくて、俺はまた嘘をつく。
「みなみだけだから、俺を分かってくれるのは……だから傍にいて」
俺の過去を知っているみなみは、そう言われると、頷くしかない。
そして、狡い俺は、みなみの寝顔にキスを落とすんだ。
自分しか見えないよう、暗示をかけるように。
どうか―――
どうか、俺を見捨てないで―――