私の片想い事情 【完】
着替えを終え帰ろうとすると、電気が消えてしまった薄暗い廊下に誰かが立っていた。
瀧川君だ。
壁に寄り掛かりながら携帯を弄っている。そんな姿も絵になるというか。
「瀧川くん?」
声をかけると、携帯を閉じて私のところに歩みを寄せる。
「みなみさん、着替え遅いよ。待ちくたびれた」
「待って、た?」
瀧川君の言っている意味が分からず私は首をかしげる。
「腹減りません?何か食べに行きましょ?」
「えっ?」
男の人にあまり誘われたことのない私は、他に誰かいるのかと周りをキョロキョロと見渡すが、今日は私たちが最後のはず。
マネージャーも大会の運営委員会に出席しているからそのまま直帰だし。