私の片想い事情 【完】

「みなみさんを誘っているんです。もう、どうしてそんな反応するかなぁ?」

「わ、私?」

「ね、いいでしょ?俺もうペコペコ!」


それなら独りで食べに行けばいいのに、と思ったが、瀧川君の人懐っこい笑顔についつられ、つい私はコクンと頷いてしまった。


ご飯くらいならいいか、その時はただそう思っていた。


外に出ると、もわっとした熱気にクラっとよろめく。


毎年ニュースで伝えられる「記録的な猛暑」の報道。今年もその記録を塗り替えそうなくらい暑い日が続いていて、それは日が落ちてしまっても同じ。


暑さにぼおっとしていると、瀧川君の予想外の行動に、急に心臓が跳ね上がった。


瀧川君はいきなり私の腕を掴んだかと思うと、手を繋いできのだ。


しかも、しっかり指を絡めて恋人繋ぎ。


男の人と手をつなぐなんて何年振りかも分からない私の頭は一気にパニック状態になる。


「ちょ、ちょっと、何で手をつなぐのよっ!?」

「えっ?だってデートって手つなぐでしょ?」

「デート?」


えっ!?これってデートなの?



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