私の片想い事情 【完】
「デートじゃないわよっ」
そう、ご飯を食べに行くだけ。瀧川君がお腹すいてペコペコって言うから……
手を繋いだまま向い合っているのが何だか急に恥ずかしくなり、私は慌てて瀧川君の手を振り解いた。
「チェ、つまんね~」
つ、つまんないって……
「………あんたのおごりよ?」
どんな態度を取っていいかわからない私はついそんなかわいくないことを口にしてしまう。
顔が火照ってくるのは、このむっとした熱風のせいよね?
「えーーー?普通後輩におごらせるかぁ?」
普通にしている彼がすごく憎たらくてついキッと睨んでしまう。
こっちはどう反応していいか、ぐるぐる頭が回っているっていうのに。
「男でしょ?奢りなさい!」
「へぇ、俺のこと男として見てくれるんだ?」
クスリと笑った瀧川君が急に私の近くにくる。
「た、例えよ、例え!」