私の片想い事情 【完】
ドラマの世界でしか見たことのない展開に経験値ゼロの私が対応できるわけなく、へなへなと腰を抜かしてしまった。
「チュ……やっぱみなみさんってすごくいいなぁ」
吸われていた唇が離され、そんなことを耳元で囁かれた。
み、耳はやめて~
力の抜けた身体が反射的にビクンとなる。
「みなみさん?大丈夫?」
「み、耳はヤメテ……」
あんなキスをされて言うことがこれって……
瀧川君は、何だか意地悪い顔になり、そして嬉しそうに笑う。
背中と項にまた手を回され、背筋がゾクリとなった。
もう自分の身体に何が起こっているのかわからない。
これは全て連日連夜の猛暑が生み出した、真夏の夜の夢なんだ。