私の片想い事情 【完】
多分、私は今すごく間抜けな顔をしている。
恥ずかしくて、気持ちよくて、どうしていいかわからなくて……
全身ゆでダコ状態。
瀧川君はというと、何が起こったのかわからずへなへなとしている私を何とか立たせてくれて、今度はおでこにチュウをしてくる。
「も……ムリ……」
またあんなキスをされるのかと身構えると、瀧川君はまた嬉しそうに笑った。
「そんなかわいい顔してないでよ」
「い、意味がわかんない」
「わかんなくていいよ」
瀧川君はそう言って、ぼおっとしている私の手を取り、ゆっくり歩き出した。
もちろん手はしっかり恋人つなぎ。
どうしよう、と戸惑ったけど、
いつもみたいにからかった言葉を言わなかったから、バカにしたように笑わなかったから、だから、私はその手を振りほどかなかった。