たった１つのラブレター

－佐倉　まゆ・・・
陸上部に、誘ってみるか…。
いちよう、部員は足りているが
まともなやつがいねぇんだよな。特別に速いやつとか・・・
もし本当に速いなら、陸上部に欲しいしな・・・－


学校のホームルームの始まりの、チャイムが鳴り
みんな急いで席につく。

担任から、時間割り変更の知らせを聞き
みんないっきにテンションが下がる。


「エー、朝から走るのだるい・・・」
「しかも、100mと1000ｍのタイム計るとか
めっちゃきついじゃん…」

「しかも、今日は女子男子混合だっけ??」

「マジ?!
変な、プレッシャーかかる－（笑）」
－女子と、体育合同なんてついてるな。
あの、佐倉さんのスピード見せてもらおう!!－

－体育の時間－

－あっ、佐倉さんが走る…－
100m
「いちについて、よ－いどん!」

女子が一斉に走りだす。

佐倉さんは…
断トツトップだ!!
他の女子は、比べものにならないぐらい遅い。

「ゴール!」
「1位のタイムは、13秒98。」

－え?!
マジ…?　速すぎる…
ここは、普通の学校の校庭。
競技場ではない…
しかも、普通の運動靴。スパイクなんて履いていない。
佐倉さん、本当に速いんだな－

次は、1000ｍ
この次も見所…。
って?
あれ?　佐倉さんがいない…?

まさか!

俺は、急いで体育倉庫に向かった。
倉庫の中からは、
怒鳴り声が聞こえる。
女子のリーダー的存在、神埼の声だ。

「あんた、走るの速いからって調子乗らないでよね??
あんなぐらい、私だっていけるんだから。
たまたま、今日は調子が悪かっただけ。
優人も、見る目がない。
こんな、自分かわいそうオーラ出してるやつに
陸上部誘おうなんて。
あんたなんて、まだまだなんだから!」

やっぱり…。
神埼のやつ…　絶対にすると思った。

「おい。」

「ゆ、優人?!
あ、これは全然何もないんだから・・・
私は、ここに雷管を取りにきただけ…」

「・・・。」

「優人!
私は、何もしてない!!」

「へぇ、これのどこが？」