たった1つのラブレター
「…ッ-」
「ゆ、優人が悪いんだからね!
こんなやつ、陸上部に誘おうとするから。」
「そんなの、俺の勝手じゃん。
つか、お前より佐倉さんの方が走るの速いし。」
「も、もぅ!
知らない!」
そういうと神埼は、走って逃げていった
「大丈夫か?」
佐倉さんは、無言で立ち上がった。
-こいつ、無愛想だな…-
「ありがとう。」
そういって、立ち去ろうとする彼女の腕をつかんだ。
すると、彼女はパッとその手を振りはらった。
「・・・。」
俺、何か悪い事したか?
「ご、ごめんなさい。」
下を向きながら、謝る彼女。
「え…あ、俺こそごめん。
手つかんじゃって…。」
「私に何か、用でも…?」
「あぁ、佐倉さんだっけ?」
「はい。」
「陸上部に入らない?
俺、陸上部の部長の松田 優人。
長距離と短距離、両方やってるんだ。
さっきの佐倉さんの、走りみてさビックリしたよ。
すっごい速いんだね。」
「え? 私ですか?」
「うん、あんな走るの速い人
部員にも、そういないよ。
どうかな?
考えてみてくれない?」
「何で、そんな急に…。
私なんて、みんなの迷惑になるだけだし…
ほら、みたでしょ?
さっきの神埼さんとのやりとり…
松田くんとの事とか…」
あぁ、そうか。
やっぱり、気にするよなぁ普通。
神埼がよけいな事言うから。
「大丈夫だよ。
1回見学だけでも、来てみて。」
「でも…。」
「俺が一緒にいるからさ♪」